犬を飼われている人は、毎年ワクチン接種をされていると思います。
まずワクチンと一言で言っても、何種類もあります。
そのうち、接種を義務付けられているものが狂犬病ワクチンです。
現在、日本国内では狂犬病は撲滅されており怖い病気という認識程度しかないと思いますが、日本以外の国では年間約5万人を超える人々がいまなお命を落としています。
犬が感染することで人間も感染し、命をおびやかす感染症があります。そのためにもきちんとワクチンを接種し予防することが、飼い主には求められます。
病気の原因である細菌やウイルスが犬の体内に侵入した際に、その細菌やウイルスから身を守るために、あらかじめ防御する力をつけさせることがワクチンの仕事です。つまり、体内で作られた抗体が細菌やウイルスの増殖をおさえて、犬が発病するリスクを減らすということです。
今回の記事では、犬のワクチン接種について記載していきます。
人獣共通感染症とは?
細菌やウイルスが体内に入ると増殖します。これが感染です。
この感染により病気が起こった状態を「感染症」と言いますが、犬の体に寄生するダニやノミなどの外部寄生虫による感染症や犬の体内に入り込み寄生する内部寄生虫による感染症もあります。
そして、動物から人間にうつる感染症として「人獣共通感染症」があります。
主なものとして、狂犬病、レプトスピラ症、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症などです。犬にきちんとワクチン接種をしていることで、感染症にかからなかったり、かかったとしても軽症ですませることが可能です。
犬と暮らす上で、飼い主はまずこれらの感染症について知っておきましょう。
感 染 症 | 特 徴 |
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狂犬病 | 誰でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?最悪の感染症です。感染すると人も犬も致死率はほぼ100%です。日本国内では数十年も前にすでに撲滅されたとされていますが、日本以外では今なお、5万人を超える人々がこの感染症で命を落としています。日本にも、またいつ入ってきてもおかしくないはずです。日本には、狂犬病予防法があり、91日齢以上の犬には、毎年狂犬病ワクチンを摂取することが義務付けられています。 |
パスツレラ症 | 約7割近くの犬の口の中にいる菌による感染症です。犬に咬まれると痛みを伴う腫れと異臭のある膿が出ます。 |
カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症 | 約9割の犬の口の中い常在する菌です。免疫力の弱い人では、発熱、倦怠感、腹痛、吐き気などが起きます。たまに敗血症を起こして死亡することもあります。治療は抗菌薬による治療となります。 |
ノミアレルギー性皮膚炎 | これはノミの唾液によるアレルギーです。ノミは犬に寄生します。ノミアレルギー性皮膚炎は強い痒みを発症します。 |
猫ひっかき病 | ネコノミによって媒介されるバルトネラ菌によって、この菌に感染した犬が人を咬んだり引っ掻いたりすることによって感染します。発熱、リンパ節の腫れなどが症状として出ます。 |
皮膚糸状菌症 | 犬小胞子菌などの真菌(カビ)が原因です。感染した部位が赤くなり脱毛したりします。 |
エキノコックス症 | この菌に感染したキタキツネや犬の糞からエキノコックスという寄生虫の卵を経口摂取することで感染します。この菌は症状が出るまでに10年以上かかり、放置すると死に至る非常に怖い菌です。 |
愛犬と接する時に気をつけることは?
先程まで見てきたように動物から人にうつる感染症がありますので、そのことを飼い主が理解をした上で予防と感染するリスクの軽減をはかる必要があります。
- 愛犬には必ず狂犬病の予防接種をする(法律で定められており義務。義務違反の場合、罰則があります。)
- 病院などで購入できるノミなどの予防・駆虫薬を決められた間隔で投与する
- 愛犬のことを我が子のように愛していても過度に濃厚な接触は避ける
- 自宅に遊びにきた友人や訪ねてきた知人、外出先等で出会った人を愛犬が咬んでしまわないようにしつける。
混合ワクチンとは?義務?
まず、狂犬病については狂犬病ワクチンの接種が法律で義務づけされています。
それでは混合ワクチンについてはどうなのか?
結論から言いますと、混合ワクチンの接種は法律的な義務はなく飼い主の任意接種となります。
それなら接種をやめようかな?と考えられた飼い主さんがいましたら、少しお待ち下さい。
混合ワクチンを接種しておくことで、愛犬が死亡する恐れのある感染症から愛犬を守ることができます。
ワクチンには単独ワクチンと混合ワクチンがあり、成犬であれば毎年の接種が理想です。特に子犬は抵抗力が弱く場合によっては命を落とすことになりかねませんので、ワクチン接種をお勧めします。
ワクチンの種類 |
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1 犬パルボウイルス感染症 |
2 犬アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎) |
3 犬アデノウイルス Ⅱ型感染症 |
4 パラインフルエンザウイルス感染症 |
5 犬ジステンパー |
6 犬コロナウイルス感染症 |
7 犬レプトスピラ症黄疸出血型 |
8 犬レプトスピラ症カニコーラ型 |
9 犬レプトスピラ症へブドマディス |
10 狂犬病 |
5種、7種、8種、9種などの混合ワクチンが主流です。どの混合ワクチンを摂取するかは地域や動物病院によって異なりますので、ワクチンを受ける際に先生に確認しましょう。
キャンプや山へ犬と頻繁に出かける方であれば、例え都会に住んでいたとしても混合ワクチンの接種の種類も変わってくるはずです。
子犬の時に3回摂取するのはなぜ?
子犬を迎え入れた時、ワクチン接種が終わり免疫ができるまでしばらく散歩を控えていたかと思います。
子犬には母犬からもらう免疫があり(母犬がワクチンを接種して感染症に対する免疫を獲得していた場合)、生まれた子犬へは母乳を通じて抗体が移行します。離乳近くまで子犬は病気から免れるわけですが、これが機能している間は子犬に抗体ができません。
移行抗体は50日から100日の間になくなります。この特殊な事情により、子犬の時には何度かワクチンを摂取する必要があるのです。通常はワクチン接種は2回ですが、初回が無効であった場合に備えて3回接種することも少なくありません。
最後に
いかがだったでしょうか?
ワクチン接種をおろそかにすると、大切な愛犬を危険に晒すことになります。そして、愛犬が感染することにより人にうつる感染症もあります。
ワクチン接種が義務のものはもちろんのことですが、任意ワクチンについてもかかりつけの獣医師と相談の上、ライフスタイルにあった混合ワクチンを接種していただくことをお勧めします。