会社に就職する時に退職金があるかないかは、みなさんなんとなくチェックをした記憶があるのではないでしょうか。
もしくは、退職なんて先のことは会社選びのポイントには全く考慮していなかったという方もいると思います。
実は退職金がない会社は少なくありません。自分の会社について調べてみたら、退職金がなかったという場合もあるでしょう。そこで今回は退職金について記載していきます。
以前に記載した解雇予告手当とは異なるので、解雇予告手当について興味がある方はこちらをご覧下さい。
退職金制度とは
退職金とは、会社を辞める際に会社から退職者に支払われる金銭のことです。一般的には、会社が就業規則で定めた定年に達した従業員に支払うものです。
そして、退職金制度とは退職金の支払いをしますという会社が取り決めた仕組みのことです。
退職金とは定年退職で退職する人が受け取るものと思われている方もいるかと思いますが、途中で辞める場合や死亡した場合等も退職金の支給対象となります。
退職金制度は必ずあるの?
先程も記載しましたが、退職金制度がない会社は少なくありません。
そもそも退職金制度というものは、法律で義務付けられているものではありません。その為、退職金制度がなくても会社としては違法ではありません。
政府統計の平成30年就労条件総合調査で「調査産業計」全企業の内、19.5%の企業が「退職制度なし」と記載があります。ただし、業種によって傾向が分かれ、宿泊業・飲食サービス業では40.3%、生活関連サービス業・娯楽業で34.7%、サービス業で31.4%が「退職制度はなし」と回答しています。逆に「退職制度なし」が少ない業種としては、建設業12.5%、製造業11.6%、電気・ガス・熱供給・水道業で7.8%と回答されています。
退職金制度があるかないかの確認方法
それでは、退職金制度がある会社とない会社をどのように確認すれば良いのか?ということですが、ご自身の会社の「就業規則」を確認して下さいということになります。
就業規則というのは、会社が定める働く上でのルールのことです。
労働基準法 第2条2項では「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」と定めています。
この就業規則で退職金制度がありますよ、と記載されていれば会社は退職金を支給しなければなりません。
具体的な内容については、会社ごとに取り決めができますので一概には言えないのですが、「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を記載することとなっていますので、一度就業規則を確認してみて下さい。
実はこの労働基準法第2条は訓示的規定とされており、就業規則等の遵守義務に違反しても労働者、使用者双方に対して罰則の定めがありません。
つまり、会社の経営者が遵守義務に違反をしても従業員から責められることはあっても、労働基準法からの罰則を受けることがないということになります。
とはいえ、ご自身の会社の就業規則をこの機会に隅から隅まで確認してみることは、大変有意義なことであることは間違いありません。
※ 就業規則の作成義務がない規模の場合は、そもそも就業規則がないということもあります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
退職金がないことは違法ということではなく、また、退職金がない会社も全体で約2割程はあるということを確認していただけたかと思います。
まずは、就業規則を手元にご用意頂き、ご自身の会社の退職金制度の有無を確認しましょう。