仕事において相手と交渉し説き伏せなければならない場面があります。
また、起業したい人や起業した人が、自分のビジョンの方向性を相手に理解、共感して欲しい場面があります。
こんなことで悩んでいることはありませんか?
- 自分は何時間もかけて相手に説明をしたのに、相手は全くこちらが望むような反応を返してくれない
- 自分は溢れるばかりの熱意を持って行動しているのに、相手に伝わらない
- 自分のビジョンと相手のビジョンにズレを感じているが、そのズレが何なのかが自分でもわからない
そんな時は「孫子の兵法」からその突破口となるヒントを掴んでください。
まずは論ずるより証拠を見せましょう
是の故に、智者の虜は必ず利害に雑(まじ)う。利に雑じりて而(すなわ)ち務めは信なるべきなり。害に雑じりて而ち患(うれ)いは解くべきなり。
本当の智者(賢い者)とは物事を、必ず利益を得られる部分と損をする部分のセットで考えるものである。利益を得られる部分と損をする部分を考慮するから物事は成功するし、損をする部分には利益を得られる部分も考慮されているから心配をすることもないのである。
孫子は賢い者は物事のメリットとデメリットを同時に考察できる人であり、そういう人物は成功するし心配いらないと説いています。
この言葉を念頭に置いて考えます。
まず、相手の気持ちを掴みたいのであれば、第一に相手の心配を取り除いてあげなければなりません。
つまり、物事を自分の思い通りに進めたいのであれば、相手を自分の計画に賛同させるだけの裏付け資料や関連する情報が必要となります。
例えば、自分が新たに販路を見出しこの商品がこの先必ず売れると確信しているならば、自分がそう確信した根拠データをもとに資料を作成しなければなりません。あるいは、先に同種の商品が出ているのであれば、その商品が今現在どの程度の利益をあげているのか、またあげていないのであれば、なぜあげられると考えたのかを相手に説明できなければ、きっとこの交渉はうまくはいかないでしょう。
誰だって損をしたくないので、相手の言葉に信ずるに足るだけの裏付けがなければ賛成などしようはずがありません。
孫子の兵法にあるように「智者の虜は必ず利害に雑(まじ)う」を常に念頭におきましょう。
つまり、こちらが相手を説得するために発する言葉は、単に利益になる部分だけを説明していてはいけないということです。
物事は常に利害の関係にあります。
こちらにとって都合の良い部分を説明する時には、合わせて害になる部分も含めて説明をし、本当の意味での納得をして頂かなくてはなりません。
そんなことは当然だと思われる方もいるかと思いますが、自分にとって都合の悪いことは自然と隠したくなるものです。そして、出来るだけ考えたくないと思うものです。
ご自身がそのような状況に陥っていないか、今一度見直されるのも活路を見出すきっかけになるかもしれませんね。
良いことも悪いことも含めて説明し、総合的に良いことが優っているであれば、きっと良い方向に向かうのではないでしょうか。
人生には賭けに出る必要があるタイミングがあります。
その際には、今回の孫子の兵法の名言を参考に「利の部分と害の部分」の両方をしっかり理解した上で、行動をおこすようにしましょう。